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木の下でコクリアウ

    つづき

    しかしクロサワは、もう若くない。
    若い頃であれば、ルミが牛丼を食う前にクロサワがルミを食べていた。

    クロサワ「ゆっくり食べなよ。」ルミに語りかける。
    ルミ「うん。ありがとう」

    ルミが牛丼を食べるのをみながらクロサワは狼の基本を思い出した。
    「まず、太らせてから戴く・・・」。母の読んでくれた童話から教わった。

    ルミ「ごちそうサマンサタバサ」
    クロサワ「はっ?」
    意味不明の食後の挨拶をしたルミは、クロサワの耳元に語りかけてきた。

    ルミ「ねえねえ、あっちの木の下にいこうよ。」
    クロサワ「いいよ。どうしたの?」
    ルミ「だって、人がいないじゃん ウフッ。」
    こんな、昼間の公園で、どこだって、同じ様な気がするが、まあ、ルミの言うとおりについて行った。

    木の下に行くと、突然にルミが真剣な顔をして、、、
    ルミ「コクリアオウ」
    クロサワ「はっ?」

    どうやら、コクリアウというのは、告白しあう事らしい。
    すっかりルミのペースに巻き込まれていたクロサワであったが、、、

    クロサワ「ルミ。あのさ、、、、、、、。」
    ルミ「もうすぐ、卒業だよね・・・」
    クロサワ「ああ、そうだよな。。。(空を見つめる)」
    ルミ「どうしたの?」
    クロサワ「実は、、ルミには言ってなかったけど、俺は・・・俺は、東京に行くよ。」
    ルミ「えっ?・・・ 」

    台本のないアドリブトークバトルが始まった。
    もう、回りは目に入らない。二人の世界に入っている。

    ルミが涙ぐみはじめている。熱い想いが胸に込み上げてきた。

    クロサワ「ルミ、お前の事が、好きだよ。」 ついに言ってしまった。
    ルミ「私もよ、・・・」