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河豚毒を持つAV女優の話

    一昨年の11月。その日も、セックスを撮影していた。

    男優「監督~。今日の子、すっごくキツクて、気持ちいいす。」
    クロサワ「そっかー 、、、、 福ちゃ~ん、大丈夫、痛くない?」

    キツイというのは、女の子にとって「痛い」ケースが多々ある。
    男にとってはよくても、膣が炎症を起こしたりするので、ローション等で挿入に注意を払う必要がある。
    (AV撮影時の女優マンコ損傷に労災は適用されないからだ。)

    福「あっ、全然、大丈夫です。」 
    すごく感じのいい子だ。擦れてない。(アソコじゃなくて人間が・・・)

    撮影も順調で、クロサワは機嫌がよかった。
    クロサワ「よっしゃー、ひとカラミ終わったし、ちょっと寿司でも食うか)

    スタッフ「まじっすかぁ~」 現場に歓喜の声があがる。
     本当は、クロサワは女優だけにごちそうしたいのである。

    寿司屋に行くと、「フグはじめました」と書いてある。
    普段、仕事には気のつかないアシスタントも、そういう事は目ざとい。
    クロサワは女優の顔を見ながら行った。
    「河豚食べたことある?」
    女優は、両手を振りながら首をも振った。「貧乏なんでありません」
    そのかわいい仕草に、クロサワは久々にまいった。

    クロサワ「よっしゃ~、河豚、いっちゃおぅ~ いぇーい」(古すぎた)
    スタッフ一同、拍手で大歓迎している。

    と、その時、女優と私の間に、男優が押し入ってきた。
    「おじゃましまーす。」 (信じられない奴だ。)
    クロサワは、思った。デリカシーのない男優は、うちの現場には不用である。その場で携帯のメモリーから彼の番号を消去した。

    食事も終わり、気をとり直して、2カラミ目の撮影に入る。

    クロサワ「女優さん、濡れないと痛いから、十分クンニして!」
    (男優に怒りを混ぜた指示を出す)
    クロサワ「濡れなかったら、晩飯代返してもらうよ!」(シツコイ)

    撮影が始まると、男優は執拗に舐め出した。
    「ぺちゃぺちゃっ くちゅくちゅ。」舌を奥まで入れている。

    数分後、突然に男優が股の間から頭を上げて私を見た。
    (何やってんだ撮影中に! 使えない奴だ!!!!)
    クロサワは、怒った顔をして女優を責める様に手で合図する。

    しかし、男優はベッドの上に座り直して、私に向かって舌をベローンと出した。

    クロサワ「カットォー! おい、どうした!」
    男優「マジ、ヤバイカモッ マジ、マジッ」
    クロサワ「はぁー? どうした」
    男優「ママッ!」男優が泣きべそをかきだした。
    クロサワ「なんだよ、どうした、しっかりしろ!」
    男優「救急車呼んでください。死ぬかもしれない。」

    現場に緊張が走る!!!!!

    クロサワ「どうしたんだ?」
    男優「毒にやられました」
    カメラ「この女のか?」(そんな訳ない)
    男優「さっきの、フグだと思います。うぇーん」
    全員「えーっ。!!」
    男優「はやく、救急車、呼んでくださぁーいっ!!!!!!!」

    クロサワ「とりあえず、洗面所でゲロれ!」
    スタッフが男優を抱えて、洗面所に向かう。
    カメラ「どこが、痺れるんだ?」
    男優「舌が、痺れて、痺れて えーん(泣)」

    哀れ、男優は全裸のまま、担架に乗せられて救急病院に搬送された。

    それを見送った福ちゃんが、済まなそうに私のところにきた。
    「もしかして、これのせいかもしれません」
    彼女が私に見せたのは、○○○○である。
    鎮痛と麻酔的な効果のある塗り薬で、プレイ前にはかかせないという。実は彼女、風俗で働いていて、膣が狭くて挿入が痛いので、この薬がかかせないという。
    一度目が相当痛かったらしく、2度目には多すぎる量を塗っていたので、クンニした男優の舌がピリピリと痺れたのだろう。

    ママーっと、叫んでしまった大袈裟な男優は、これが最後の仕事となって引退した。

    河豚女は、今日も夜の大都会を泳いでいるだろう。